Zaine Griff LxIxVxE Report
2014/09/13 & 09/14 @Shinjuku MARZ

邪外(JAGE) (2014.09.27執筆)


【Link Photo Album: Zaine Griff 2014年来日公演写真集(LxIxVxE Reportに載せきれなかった写真)】



長らくCD化されなかったNew Wave/New Romantics界 最後のアーティスト
Zaine Griff ザイン・グリフの初来日公演が決まった。
(1980年と1982年にリリースした2枚のアルバムのCD化は2004年に予定される
ものの一度ポシャった後、2012年にやっとCD化された。)

日本でZaine Griffといえば、YMOの高橋幸宏のソロアルバム"What's Me Worry?"
に収録曲"This Strange Obsession"の作詞・作曲、リードヴォーカルとして
ゲスト参加していること、また逆に高橋幸宏がZaine Griffの2ndアルバム
"Figvres"にゲスト参加していることで、YMO繋がりとして知っている人が多い
と思う。
私の場合は、Zaine Griffの2ndアルバム"Figvres"にUltravoxのドラマー
Warren Cannがゲスト参加していること、Warren CannとHans Zimmerの
プロジェクトHeldenにZaine Griffが参加していること、Ultravoxの
"Passionate Reply"をMidge Ureのプロデュースでカヴァーしていること、
等のUltravox繋がりがきっかけでZaine Griffを知り、New Romanticsの
代名詞ともいえるような音楽性に惹かれてファンになって、アルバムや
シングルを集めた。
同じ年の3月に来日公演を行ったVisageもそうだが、2014年になってまさか
Zaine Griffの来日公演が観れるとは思わなかったので、本当にこの奇跡の
来日公演決定は嬉しかった。




招聘元は2008年9月のJohn Foxx来日公演、そして記憶に新しい2014年3月の
Visage来日公演等、数々の奇跡を起こしてきたVinyl Japanさん。
情報解禁は6/20(金)。解禁日にはあまりの嬉しさにビールで祝杯を挙げた。(笑)
(写真はVinyl Japan主催の6/20(金)DAF来日公演でもらった号外フライヤー。)
チケットの発売日は翌週の6/28(土)12:00からVinyl Japan店頭にて。発売日当日
は早起きして店頭に並び、整理番号は9/13(土)は1番、9/14(日)は2番をゲット
することができた。





ライヴは2公演観たが、感想は公演毎にではなく2公演まとめて書くことにする。



まず初日の開場前に新宿MARZの入場列に並んでいたところ、そこにいきなり
Zaineが登場し、ビックリする。(驚) 握手してもらい、ライヴを楽しみに
していることを伝えた。

初日は向かって中央やや右側の最前列を陣取る。しかし、正面の真下過ぎて
マイクスタンドにZaine顔が被って写真が上手く撮れなかったので、2日目は
中央から離れ向かって左側の最前列に陣取った。

初日はMADAME EDWARDAのオープニングアクトが終わり転換DJを挟んで20:18から、
ワンマンの2日目は19:16からライヴはスタート。

今回の来日公演のバックバンドのメンバーは、下記の通り。

Hugh Nettar (Guitar & Backing Vocal)
Miori Kuniyoshi 国吉 美織 (Keyboard)
Masami Nishijima 西嶋 正己 (Bass)
Makoto Yoshihara 吉原 誠 (Drums)


ギターとバッキングヴォーカルのHugh NettarはZaineと一緒にNew Zealand
から来日。キーボード、ベース、ドラムは日本人ミュージシャンがサポート
を務める。




まずはZaine以外のメンバーがステージに登場する。
ステージ前列中央にZaineのマイクスタンド、左にギター、右にキーボード、
後列右にベース、中央にドラムというメンバーの配置。

Hughが弾く幻想的なギターソロで幕を開け、それにキーボード、ベース、
ドラムも加わってプログレライヴのインプロのようなものが始まる。
この時点でバンドは凄腕メンバーで構成されていることがすぐに分かった。
これがZaine Griffのライヴ?一体何の曲だろう?と思ったら、
"The Scandinavian"のイントロが聴こえてきた。そしてZaineが登場。
大きな拍手と歓声が起こる。




初来日の記念すべき1曲目は"The Scandinavian"。「ずっと追いかけていた人に
この場所で会うべきして会えた」という感じの歌詞が表しているように、
長い年月が経ってしまったが日本のファンとやっと会うことができたという
喜びの気持ちを表し1曲目に選んだのではないかと思う。
「♪Mister. I know you.」「♪Mister. I followed you.」との歌詞では
「会えて良かったね。」という感じで観客の誰かを指差しながら歌っていた。
バンドの演奏力によってレコードのヴァージョンよりもパワーアップした曲に
今日のライヴが凄いものになるという手応えを感じ、多くのファンが30年以上
待ったであろうZaineとのファーストコンタクトは無事に終了。




2曲目は"Run"。女性のことを歌った曲なので、曲中で初日は最前列の女性客を
いじってコミュニケーションを取っていた。2日目の最前列は男性客しか
いなかったのでそれは無し。(笑)




3曲目は1stアルバムのタイトル曲"Ashes And Diamonds"。ここまでは、
ファンにはお馴染みの1stアルバムの曲が3曲続く。
4曲目は"This Day And Age"。来日公演直前の2014年8月にリリースされた
デモ集の新譜アルバム"Immersed"収録で、ライヴではこの来日公演で初めて
演奏された。
5曲目は2ndアルバム"Figvres"から"Flowers"。スタジオヴァージョンで
一緒にデュエットしているKate Bushのことや2人のパントマイムの師匠で
あるLindsay Kempのことが語られた。




6曲目は4thアルバム"The Visitor"から"Devil Or Angel"。
「♪Oh, Oh, Oh, Oh〜」というコーラスを客席にマイクを向けて観客に歌わせ、
コール&レスポンスをしていた。私もマイクを向けられたので歌って
しまった。(笑)
7曲目は1stアルバムから"Orient"、8曲目は2ndアルバムから"The Vanishing Men"、
9曲目は4thアルバムから"Heaven And Hell"と新旧を織り交ぜた曲を披露。
10曲目は高橋幸宏のソロアルバム"What's Me Worry?"に収録の
"This Strange Obsession"。Zaineのtwitterやfacebookでの事前の予告通り
演奏された。今回の来日公演の目玉曲の一つなだけに盛り上がる。オリジナル
ではかつての恋人 男装の麗人Ronnyと交互にヴォーカルをとるが、全パート
をZaineが歌っていた。
11曲目に"83rd And 4th"を挟み、ここで2日目のみZaineからサプライズな
知らせがあった。12曲目に、なんと次のアルバムに収録予定の新曲がこの来日
公演2日目にて初めて披露された。このバラードの新曲の曲名についてはMCでも
語られなかったので曲名がわからず、ライヴ後にZaineのオフィシャルサイト
に質問したのだが、オフィシャルサイトのスタッフは一緒に来日したわけ
ではなく来日公演を観ていないため曲名がわからないとの返事だったので、
バンドメンバーの国吉 美織さんに訊いてみたところ、曲名は
"Tenement Hideaway"だと教えて下さった。また2日目の当日のリハーサルで
急遽演奏することが決まった曲で、バンドメンバーもそのときに初めて曲を
聴いたとのことだった。新曲の初披露の場に立ち会うことができ、ファン
としてとても貴重な体験となった。
13曲目はなんと"Swing"。New Romanticsの要素が凝縮され、Zaine Griffの中
で一番好きな曲なのだが、オリジナルアルバム未収録でありシングル自体も
レアで入手困難なことから、まさかライヴで演奏するとは思わなかったので
このサプライズな選曲は本当に嬉しかった。さらにベースの西嶋 正己氏の
5弦フレットレスベースでのスラップが炸裂し、鳥肌が立った。個人的には
この1曲を生で観れただけでもチケット代以上の価値があった。
14曲目は本編最後となる"Tonight"。ノリの良い曲にZaineも観客も気分がハイ
になり、多くの観客とハイタッチしまくりで盛り上がった。また、この曲の
間奏部分にてバンドメンバーの紹介と各自のソロの回し合いを行い、本編の
幕を閉じた。




Zaineとメンバーがステージから下がった後、アンコールで再び登場。
アンコール1曲目となる15曲目はこれまた驚きのUltravoxのカヴァー曲
"Passionate Reply"。13曲目に演奏した"Swing"の12インチシングルのB面
のみに収録されるこの曲もレア曲なことから演奏しないと思っていたので
本当に驚いた。プロモーションビデオでは長い足を高く上げるダンスが
印象的だが、ライヴではギターを弾きながら歌ったため、派手な振りは
なかったが、熱唱は素晴らしかった。
(なお、"Swing"も"Passionate Reply"も2012年にCD化された日本盤"Figvres"
にボーナストラックとして収録され現在では入手しやすくなっている。)

初日はここまでの全14曲(2日目のみの"Tenement Hideaway"を除く)で終了
なのだが、2日目はアンコールをさらにもう1曲やるとのMCが。
ここでZaineがドラムの吉原氏とベースの西嶋氏をコーラス隊として
ステージ前方に呼ぶ。呼ばれた2人の反応からするとアンコール2曲目は
もともとの予定に無く、その場で演奏することを決めたっぽい。




16曲目でアンコール2曲目となるのは、The Visitor収録の
"No One Loves Me Like That"。Hughのギターでの演奏のみで、吉原氏と
西嶋氏、途中からは国吉さんも加わったコーラス隊3人と一緒に歌い上げ、
感動の初来日公演に幕を閉じた。
さらにアンコールを求める観客の手拍子は鳴り止まなかったが、Zaineは
ステージではなくフロアに登場して笑いをとっていた。(笑)




















ここで、セットリストを振り返ってみる。





Zaine Griff Japan Tour 2014 Setlist
 Sep.13th & 14th @Shinjuku MARZ, Tokyo, Japan
  (Sep.13th approx. 76min, Sep.14th approx. 90min)

The Scandinavian [Ashes And Diamonds]
Run [Ashes And Diamonds]
Ashes And Diamonds [Ashes And Diamonds]
This Day And Age [Immersed]
Flowers [Figvres]
Devil Or Angel [The Visitor]
Orient [Ashes And Diamonds]
The Vanishing Men [Figvres]
Heaven And Hell [The Visitor]
This Strange Obsession [What's Me Worry? / Yukihiro Takahashi]
83rd And 4th [Figvres]
Tenement Hideaway [unreleased song] (* Sep.14th ONLY)
Swing [Single Release]
Tonight [Ashes And Diamonds]
-----1st Encore-----
Passionate Reply [Swing 12inch Single B-side]
-----2nd Encore-----
No One Loves Me Like That [The Visitor] (* Sep.14th ONLY)

カッコ[]内は収録アルバム


Ashes And Diamonds・・・5曲
Figvres・・・3曲
Child Who Wants the Moon・・・0曲
The Visitor・・・3曲
Immersed・・・1曲
シングルリリースのみ・・・2曲
未発表曲・・・1曲
ゲスト参加曲「What's Me Worry?(高橋幸宏)」・・・1曲
ゲスト参加曲 Helden・・・0曲




写真は2日間ステージに貼ってあったセットリスト。初日はセットリスト通りに
演奏しているが、2日目のみ演奏した"Tenement Hideaway"と
"No One Loves Me Like That"が載っていないので、やはり急遽決めたのだろう。

1st & 2ndアルバム、シングル"Swing"のAB面で10曲を占める80年代の楽曲が
中心のセットリストだった。今回演奏しなかった曲の中で演奏して欲しかった
曲といえば、まず最初に挙げられるのがHeldenの曲"Holding On"。これは是非
とも聴きたかった。あと2ndアルバムの曲が1stアルバムに比べて少なかった
ので、できれば"The Provd Ones"、"Hot"、"Fahrenheit 451"、Figvres"、
"The Beating Of Wings"あたりも演奏して欲しかった。
3rdアルバムからは1曲も演奏は無かったが、"Living In The Heart Of You"
あたりのカッコいい曲を演奏しても良かったと思う。
まあ、"This Strange Obsession"、"Swing"12インチA/B面、未発表曲、等
のレア曲も聴けた素晴らしいセットリストだったのだから、この希望は
ちょっと贅沢か。(^^;

今回のZaine Griffバンドの演奏はZaineの名曲たちを完璧に再現していた。
ZaineとギタリストのHugh NettarがNew Zealandから来日したのが
9/9(火)、日本人のサポートメンバー3人を加えたバンドとしてのリハーサル
を初めて行ったのがライヴ前日の9/12(金)とのことだが、この短期間で
あのクオリティの高さまで仕上げたのは本当に凄かったと思う。まるで昔
から一緒に活動しているバンドのように息があっていた。

ライヴ後は2日間ともZaineがすぐにフロアに降りてきて、そのままサイン会
が行われた。初日は"The Visitor"、2日目は"Figvres"のジャケットにサイン
してもらった。また一緒に写真も撮ってもらった。
初日のみ一緒に行った相方は"Immersed"のジャケットにサインをしてもらって
いた。サイン会でのZaineはとても丁寧に接してくれて紳士的な人柄がにじみ
出ていた。














ちなみに、来日記念グッズは、Tシャツとピンバッジセットがあり購入。

日本のファンにとっては、1st & 2ndアルバムがリリースされた80年代前半から
30年以上待ったものの今回の初来日公演では本当に素晴らしいZaineの
パフォーマンスを体験することができた。観たかったファンにとっては
涙モノの奇跡の体験であった。
また、来日公演では、写真、動画の撮影が許可されていたため、日本のファン
が撮影した多くの写真、動画がネット上にアップされ、かつては活動の中心
としていたイギリスや他のヨーロッパのファンの目にも触れ、その健在ぶりに
盛り上がっており、今後のヨーロッパでのライヴ活動の道が開けたという点
でも大きな意味があったと思う。
なにより、Zaine自身がライヴを楽しんでいたことがわかるあの笑顔が良かった。

奇跡の初来日公演を実現させてくださった招聘元のVinyl Japanさんには
本当に感謝します。


(本ページのLxIxVxE Reportに載せきれなかった写真については、
Zaine Griff 2014年来日公演写真集のページに載せましたのでそちらもご覧下さい。)


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