Visage LxIxVxE Report
2014/03/22 @Shimokitazawa GARDEN & 03/23 @Kouenji High

邪外(JAGE) (2014.04.21執筆)


【Link Photo Album: VISAGE 2014年来日公演写真集(LxIxVxE Reportに載せきれなかった写真)】



80年代前半にNew Romanticsの一時代を築いた伝説のバンドVISAGEが
1984年の3rdアルバム"Beat Boy"以来29年振りの新譜"Hearts And Knives"を
発表し、2014年に来日するという奇跡が起こった。

招聘元は2008年のJohn Foxx来日公演等の数々の奇跡を起こしてきた
Vinyl Japanさん。情報公開は2014年1/3(金)で、チケット発売は1/13(月・祝)
12:00 Vinyl Japan店頭とのことだったので、チケット発売日当日は少し早起き
してVinyl Japanに並ぶ。その甲斐あってか3/22(土)のShimokitazawa GARDENと
3/23(日)のKouenji Highの両日とも整理番号2番をゲットできた。



ライヴは2公演観たが、感想は公演毎にではなく2公演まとめて書くことにする。

現在のVisageのメンバーは下記の通り正式メンバー4人とサポートメンバー2人
であり、2013年のLondon公演等はこの6人でライヴを行っていた。

・正式メンバー
 Steve Strange (Vocals)
 Steve Barnacle (Bass)
 Lauren Duvall (Vocals)
 Robin Simon (Guitar)

・サポートメンバー
 Logan Sky (Keyboards, Synthesiser)
 Johnny Marter (Drums)


今回の来日公演はフルメンバー6人ではなく、下記の3人と縮小されたメンバー
で、Robin SimonとLogan Skyはコーラスも担当していた。

・2014来日メンバー
 Steve Strange (Vocals)
 Robin Simon (Guitar, Chorus)
 Logan Sky (Keyboards, Chorus)


来日メンバーが縮小された事情はわからないが、縮小するにあたっては、
・Steve Strange 1人でカラオケ
・Steve StrangeとLogan Sky

等の編成でも十分にライヴを行うことが出来たと思うが、Ultravox時代や
John Foxxソロ時代にJohn Foxxを支え、Magazineにも在籍したRobin Simon
までを含めたことが非常に大きな意味があったと思う。実際のライヴを観て、
Robinのギターが有ると無いとではライヴは全く別のモノになっていたと
思った。

ライヴは3/22(土)はBlitzage、Madame Edwarda、3/23(日)はBlitzage、RIS、
The Sodom Projectがオープニングアクトを務め、初日は20:56頃、2日目は
21:13頃からヘッドライナーのVisageが登場というタイムテーブルだった。



開場前にVinyl Japanのツイッターでリハーサルの画像がアップされたが、
それによるとステージ上では中央にSteve、左にRobin、右にLoganという並び
だったので、SteveもRobinも近くで観たい自分は2公演ともSteveとRobinの間
あたりの中央やや左寄りの最前列を陣取った。

さて、いよいよ初来日公演の初日が始まる。
まずは先にLoganが入場し、インストの登場曲(曲目不明)を流し始める。
Visageと観客のファーストコンタクトを前に会場の空気に緊張感が漂う。近く
の女性ファンからは、「キャー、どうしよう〜。」という声が聴こえたが、
多分、皆がそんな気持ちだったと思う。
遅れてRobinが登場し、最後にSteveが登場。一気に会場は大歓声に包まれる。
Visage初来日公演の記念すべき1曲目を飾ったのは新譜"Hearts And Knives"の
1曲目でもある"Never Enough"。
Steveが頭の上で大きなアクションで手拍子をし、観客にも手拍子を促す。
そして観客も手拍子をし、ステージと客席が一体化する。





ここで1つ注意事項がある。
今回の来日公演はNew Romantics界の伝説の人Steve Strangeと 第2期Ultravox
のフロントマンMidge Ureの世界観が強いバンドVisageにJohn Foxx期
Ultravoxのギタリストという反則過ぎる人選でメンバー入りしたRobin Simon
の来日が実現したこと自体に大きな意義があり、これだけで来日公演の95%は
成功したようなものである。
Visageはライヴバンドではないし、Steveも元々は歌手ではないので、ライヴ
の出来が良くなかったとしても、それはそれで良いのではないか。

Steveはスタンドマイクを持ちながら歌い、ステージ狭しと左右に動き回り
前列の観客と握手しまくるという余裕のパフォーマンス。声の方も調子が
良かった。
これにはちょっとビックリした。というのは、新譜"Hearts And Knives"発表後
の新体制お披露目ライヴと言える2013年6月5日のLondon公演の映像がYouTubeに
アップされており、それをチラ見したのだが、Steveはヴォーカルが不安定で、
歌詞も忘れていたりして、来日公演を不安にさせるようなものだったからだ。
しかし、それに比べると今回の来日公演は格段に良くなっているのは明らかで、
相当練習したのではないかと思う。





2曲目は過去の名曲の1つである"Pleasure Boys"。バイクのエンジン音が
響き渡り、その曲であることがわかると、観客は盛り上がる。原曲は打ち込み
中心のアレンジの曲だが、Robinのギターの音も加わり、よりライヴ向けの
アレンジになっていた。この後に演奏されていく過去の曲でもRobinのギター
というのは非常に良い味付けになっていたと思う。
ライヴ後の他の方の感想を拝見すると、Robinのギターの音が小さいという声
があったようだが、自分はRobinの近くを陣取っていたのでステージ上の
モニタースピーカーからギターの音がよく聴こえていたこともあってか、
音的には「ギターも主役のVISAGE」という感じだった。
なお、曲の演奏中にステージ後方のスクリーンで"Pleasure Boys"のPV
(プロモーションビデオ)を流していたが、この後も再結成前の80年代当時の曲
の演奏時には、ほとんどの曲において同様にPVを流すという演出がされていた。







3曲目は"Hidden Sign"、4曲目は"Mind Of A Toy"、5曲目は"Dreamer I Know"、
6曲目は"The Damned Don't Cry"、7曲目は"Diaries Of A Madman"と、
1曲目からここまでは新譜からの曲と過去の曲を交互にバランス良く演奏し、
決して過去の栄光に頼っただけの再結成バンドではなく、現在進行形のバンド
であることを感じさせてくれる。
過去の曲"Mind Of A Toy"、"The Damned Don't Cry"はVisageファンなら
何回聴いたかわからないくらいの曲なので、当然のように盛り上がる。
しかし、新譜からの曲だって負けてはいない。新譜の出来が凄く良いことも
あるが、現メンバーで作られたということもあり、とにかくライヴ映えしていて
素晴らしかった。
"Hidden Sign"はSteveお気に入りの曲。Robinも水を得た魚のようにギターを
弾きまくっていた。
"Dreamer I Know"は、体が自然とノッてしまうアップテンポの曲が多い中で
聴き惚れさせてくれた美しいバラード曲。
"Diaries Of A Madman"は元々は2007年に現在とは編成が異なる
"Visage Mark II"名義にて、オリジナルメンバーのDave Formulaとの共同
プロデュースで発表した曲のセルフカヴァーであるが、アレンジを打ち込み
主体からロック色の強いものに生まれ変わらせていた。この曲の熱唱後に
Steveは、ステージに寝っころがってしまうという愛嬌のある場面もあった。





ここでSteveが休憩のためステージから下がる。
ライヴ自体の休憩時間かと思ったが、RobinとLoganはステージに残り、
なんと8曲目となる"The Dancer"が始まる。今回の来日公演ではSteveが活躍
する場面の無いインスト曲はやらないと勝手に予想していたが、Steveの休憩
タイムにするという手があったか。
その"The Dancer"は1999年のMidge Ure来日公演でも披露されており、本家
のMidgeヴァージョンとの聴き比べも興味あるところだ。(こちらがVisage名義
なのに、Midgeのソロが本家というのも面白いところだ。(笑))
ちなみにMidgeのソロライヴの場合はオリジナルに忠実に演奏すると見せかけて、
Ultravoxの"Astradyne"のフレーズを挟んできたりとヒネリを加えている。
Robin & LoganのVisageはどうかといえば、オリジナルではサックスで演奏
しているように聴こえるパートをRobinとLoganでヴォコーダーでコーラス
していたことにまず驚いたが、その後、Robinがギターソロでオリジナルに無い
フレーズを弾き始めた時、胸にグッとくるものがあった。Robinにはこういう
ものを求めていたんだと。続けてLoganもKeyboardでオリジナルに無いソロを
弾く。2013年のUKでのライヴ映像を見ると、この"The Dancer"は各メンバー
のソロを披露するコーナーになっており、Guitar、Keyboard、Bass、Drumと
ソロを回しあっていた。





"The Dancer"終了後には観客から「Robin〜!!」と沢山の歓声が飛ぶ。
この2人のまま9曲目は"Whispers"。過去、Visageのライヴでは演奏されたこと
が無かったが、1982年に日本でTDKビデオテープのCM曲だったということも
あってか、今回の来日公演が初披露だった。
"The Dancer"が新しいアレンジで演奏されていたのと同様に"Whispers"も
オリジナルを超えた泣きのギター曲に生まれ変わっていた。
個人的にはRobinの魅せ場がたっぷりだったこのインスト2曲が来日公演の
ハイライトだった。なんだか、Visageのライヴらしからぬインストの
プログレバンドのライヴを観ているようだった。
初日の下北沢で"The Dancer"にとても感動したので、2日目の高円寺では
「Robinのギターソロをこの目にしっかり焼き付けておこう」と意気込んだが、
"The Dancer"の演奏は初日のみで2日目には無かったのが本当に残念だった。





インスト2曲が終了するとSteveが休憩から戻りステージに再び登場。
これまでは白い帽子を被っていたが、黒い帽子にお色直ししていた。
初日のみは過去のSteveの写真のお面を付けて登場したので、会場に笑いが
起こる。そして、そのお面を客席に投げ込んだのだが、ブーメランのように
戻ってきてしまい、また笑いが起こる。(笑) その後は最前列の観客(私の友人)
に渡していた。







Steve休憩明けの10曲目は、新生Visageのアルバム"Hearts And Knives"発売前
の先行1stシングル"Shameless Fashion"。新生Visageの勝負曲なだけに
盛り上がる。シングルに収録されている日本語ヴァージョンを歌うことを
期待していたが、残念ながらそれは無かった。





11曲目は、"Anvil (Night Club School)"。
2日目の高円寺ではこの曲のときに、フロアにいた"Fade To Grey"のシングル
のジャケットのメイクをしたZonoさんの存在にSteveが気が付き、ステージ上
から彼女にキスをするという微笑ましい場面があった。
曲終了後のMCでSteveは「あなたのメイクはamazingだね。」と褒めていた。




12曲目は、"Night Train"。"Whispers"と同じくTDKビデオテープのCM曲で
日本には縁のある曲であるが、Steveはこの曲は嫌いだと言っていた。(笑)





13曲目は、"Fade To Grey"。Visageといえばこの曲というくらいの一番有名
な曲だ。Steveは「みんな一緒に歌ってくれ」と言ってサビの
「♪Ah, Ah, We fade to grey〜」の部分を観客にマイクを向けて、大合唱
になっていた。
ここで本編は終了。メンバーは楽屋に戻る。





アンコール待ちの時に、初日の下北沢ではスクリーンに次の曲のバックで
映す映像のタイトルが誤って表示されネタバレとなってしまった。(笑)
そして、観客はアンコールのコールの代わりに、その曲のサビの部分である
「♪ Oh my visage〜」を大合唱してVisageを待つ。
3人が再び登場し、14曲目の"Visage"が始まると盛り上がりは最高潮に。
なんと初日の下北沢ではモッシュが起こった。
こうしてVisageの初来日公演は大成功で幕を閉じた。





ここで、セットリストを振り返ってみる。
(写真 左: 3/22 下北沢、右: 3/23 高円寺)



Visage Japan Tour 2014 Setlist
 2014/03/22 Shimokitazawa GARDEN (approx. 74min)
 2014/03/23 Kouenji High (approx. 65min)

01. Never Enough [Hearts And Knives]
02. Pleasure Boys [Single Release]
03. Hidden Sign [Hearts And Knives]
04. Mind Of A Toy [Visage]
05. Dreamer I Know [Hearts And Knives]
06. The Damned Don't Cry [The Anvil]
07. Diaries Of A Madman [Hearts And Knives]
08. The Dancer [Visage] ※(3/22 のみ演奏)
09. Whispers [The Anvil]
10. Shameless Fashion [Hearts And Knives]
11. Anvil (Night Club School) [The Anvil]
12. Night Train [The Anvil]
13. Fade To Grey [Visage]
-----Encore-----
14. Visage [Visage]

カッコ[]内は収録アルバム。

Visage・・・4曲
The Anvil・・・4曲
Beat Boy・・・0曲
Heart And Knives・・・5曲
シングルリリースのみ・・・1曲



"Beat Boy"からの演奏が無かったのは残念だったが、それ以外は新旧バランス
良く選曲されていた。(ファンの間では"Beat Boy"はあまり評判が良くない
ようだが、個人的には一番好きなアルバムである。)
来日公演の前年である2013年9月にUKで行われたTHE HEARTS AND KNIVES TOUR 2013
のうち2013年9月20日London公演のセットリストと比較すると、来日公演の14曲
から日本でTDKビデオテープのCM曲だった"Night Train"と"Whispers"の2曲を
抜いたものがLondon公演のセットリストだった。
ということは、今までのツアーで定番だった12曲に、日本向けの2曲を加えた
日本のために用意したセットリストだったということがわかる。
しかもライヴで初披露だった"Whispers"は来日公演のためにわざわざ新規に
準備してくれたというのが嬉しい。
インスト曲はやらないと思っていたが、Steveの休憩タイムという形でやって
いたので、それなら日本で人気のある"Moon Over Moscow(モスクワの月)"も
やってくれれば、なお嬉しかったのだが。
Robinにはアンコール枠を利用してUltravox & John Foxxギターメドレー
なんかを期待していたが、さすがにそんな夢のようなことはなかった。(苦笑)

ライヴ後は初日の下北沢のみ主催のVinyl Japanさんの御厚意でサイン会が
行われた。サイン会の列は長蛇になり、並ぶのが遅かったので後ろの方に
なってしまった。最初はSteve 1人のみのサイン会だったが、途中でSteveが
RobinとLoganを呼んだところ、自分の順番の数人前でRobinのみ出てきてくれて、
SteveとRobinの2人によるサイン会となった。並ぶのが遅くて、むしろラッキー
だった。
サインしてもらうアイテムは、Steveには自分がVisageのアルバムの中で一番
好きな"Beat Boy"のジャケットにしてもらうことにした。(ここは新譜の
"Hearts And Knives"にしてもらうべきなのだろうが、実はオフィシャルサイト
からSteveのサイン入りを既に購入していたので。)
Robinとは、2006年7月にJohn Foxx & Louis GordonのUK London公演を観に
行った際に、客として観に来ていたRobinに会い、一緒に写真を撮ってもらって
いたので、その写真をプリントしたものにサインしてもらうことにした。
(参考: 2006年7月にRobin Simonと会ったときの様子)
自分の順番になって、Robinに写真を渡し、2006年にJohn FoxxのLondon公演
の後に一緒に撮ったことを伝えると、すぐに「憶えているよ」と言ってくれた。
Steveは写真を見て「若い!」と何度も突っ込んでいた。(笑) 確かにもう
約8年前のことで、今57歳のRobinが50歳だったのだから若いはずだ。Steveには
"Beat Boy"のジャケットにサインをしてもらい、3人で写真を撮ってもらった。
一緒に観に行った相方は、RobinにはJohn Foxxのソロアルバム"The Garden"に、
SteveにはVisageの1stにサインをもらっていた。
サイン会ではSteveから日本のファンに積極的に話し掛けていて、とても
楽しそうな感じだった。













2日目の高円寺では開場時間待ちをしていたところ、たまたまRobinが会場の
外に出てきたので、一緒に写真を撮ってもらえた。





長くなったので、そろそろ終わりにする。
最初のほうに来日公演が実現しただけで95%成功と書いたが、Steveの
ヴォーカルやパフォーマンス、RobinとLoganのバンドとしての演奏も充分に
素晴らしいものだったと思う。
またもともと6人編成だったバンドが3人に縮小されることで音が薄っぺらく
なることが心配されたが、むしろ3人になったことで各人の個性が際立ち
発揮できたのではないかと思う。Robinは弾きまくりだったし、Loganも彼が
いないとライヴが成り立たず、縁の下の力持ちとしてライヴを支えていた
のがよくわかった。
そして何よりSteveがライヴ中でも、ライヴ後のサイン会でも、とても楽し
そうだったのが良かった。日本で現在もこれだけのファンがいて、もしか
すると本国UKよりも盛り上がっている日本の状況を本人も驚いていたのでは
ないだろうか。
今回の来日公演は大成功だったと思うので、近い将来、新しいアルバムを
作成したり、ライヴで演奏する新しい過去曲を準備したりして、是非とも
再来日して欲しい。

奇跡の初来日公演を実現させてくださった招聘元のVinyl Japanさんには
本当に感謝します。


(本ページのLxIxVxE Reportに載せきれなかった写真については、
VISAGE 2014年来日公演写真集のページに載せましたのでそちらもご覧下さい。)


【参考】
2006年7月 John Foxx & Louis Gordon UK Tour観戦 英国旅行記
TDKビデオテープ Steve Strangeのポスター


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